アンチモン
古代ギリシャやアラビアの女性たちは、眉墨あるいはアイシャドウに黒色の鉱物粉末を用いていた。エジプトのクレオパトラも愛用していたといわれている。この粉末は、現在の輝安鉱で主成分は硫化アンチモンと思われる。
この眉墨は当時、stibiとかstimmiと呼ばれていた。このため元素記号のほうはラテン語のstibiumからきていると思われる。愛媛県の市ノ川鉱山から採鉱された美晶の輝安鉱は、海外にも広く知られている。
『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』256頁から引用
『原色鉱石図鑑(保育社)』の第30図版(↓)は、市ノ川鉱山産の輝安鉱です。
残念ながら私は図鑑で見ているだけで、実物を見たことがありませんが、大きくて美しい輝安鉱は、ほんとうに美しいものだと思います。
新型コロナウイルスの感染防止のため、外出を自粛していますので、以前に採集した輝安鉱を紹介(↑)します。
市ノ川鉱山産の輝安鉱は、『原色鉱石図鑑(保育社)』の表紙(↓)にもなっているほどです。
市ノ川鉱山産のように大きくありませんが、きらきら光る、その美しさは、まさに輝安鉱の輝き(↓)です。
ところで、アンチモンについては、
アンチモンは100mgで中毒症状を示し、非常に毒性が強い。
『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』257頁から引用
とのことで、クレオパトラをはじめ、古代ギリシャやアラビアの女性たちに健康被害がなかったのか、そこが大いに気になるところですが・・・。
美しく装いたいという女性の気持ちを、このアンチモンが叶えてくれていたのかもしれません。
絶世の美女として有名なクレオパトラですが、アンチモンのアイシャドウを塗ったクレオパトラに会えるものであれば、会ってみたいものです。
現代のアンチモンの用途については、『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』256・257頁で紹介されています。
外出自粛が解かれたときには、
研究会のメンバーで調査に出かけたいものです。