2020年11月8日日曜日

ますます博物館が好きになる本!!

 『ぐるぐる♡博物館』

(三浦しをん・実業之日本社文庫)

博物館好きには、たまらない本が文庫で登場しました。

この文庫本の〝はかまに〟、
 人間って、面白い・・・!!
  愛と好奇心が渦を巻く 興奮のルポエッセイ
とありますが、まさにこのとおりの内容の本です。
著者のやさしいまなざしで見れば、土器がひなたぼっこ(↑)をしているように見え、全編驚きとやさしさに包まれた福物館探訪記といえます。
博物館を始めた方のエピソードも満点で、これがとにかくすばらしいのにびっくりしてしまいます。
石炭産業科学館にも出向いて、炭鉱のまちのようすをしっかりルポしたものもあります。
火山の噴火、災害に備えながら暮らしている人々をやさしく見つめているルポも読みごたえがあります。
随所に著者ならではの視点で、博物館めぐりの楽しさ、博物館のあるべき姿などについて、わかりやすく述べられていて、博物館の専門職員(学芸員)はもちろん、博物館めぐりが好きな人々の案内書として、多くの人々に読んでいただきたい本です。

2020年9月13日日曜日

「ご安全に」

 ドイツの炭鉱発祥のあいさつ

先日の読売新聞の記事(↓)です。

私が勤務していた職場では、「お気をつけて」・「お疲れさま」といったあいさつをしていましたが、「ご安全に」というあいさつはしていませんでした。
ある会社を訪問したとき、その会社では「ご安全に」があいさつになっていて、会社全体で安全対策に取り組んでいるようすがよくわかったものでした。
つぎの画像は、閉山になった鉱山で撮影しました。
見やすい場所に、「安全第一」の看板が設置されていたものです。
事故防止の徹底は、鉱山に限らず、どこでも最優先の課題です。
いま、日本の多くの会社で使用されている「ご安全に」が、ドイツの炭鉱発祥のことばであることを初めて知ったのですが、ドイツ語のGlück aufを「ご安全に」と日本語訳した方がすばらしかったのではないかと思うのです。
なぜなら、Glück aufをGoogle翻訳で訳してみると、「頑張って」となり、「ご安全に」という意味ではないからです。
では、「がんばって」をドイツ語に訳すと・・・
ということばになります。
そして、「ご安全に」をドイツ語に訳すと・・・
ということばになります。
外国のことばを日本語に訳すとき、そのことばのもつ意味、使われている場面などを総合的に考えて、しっくりくる訳として、「頑張って」ではなく「ご安全に」としたと思うのですが、「ご安全に」は働く仲間の安全をそれぞれが祈ることばとして、とてもすばらしいことばだと思います。

2020年8月26日水曜日

きれいにしてみました

 シュウ酸処理

日帰り温泉施設をつくるときにボーリングをした場所があるとのことで、鉱山跡地調査の折に行ってみました。

コアの破片があちこちに落ちていました。
そのなかのひとつを持ち帰り、シュウ酸できれいにしてみました。
コアの破片だけではもったいないので、ほかのものいくつかシュウ酸液に入れました。
朝、シュウ酸液にいれたのですが、夕方にはご覧のとおりきれいになりました。
いっしょにきれいにした鉱物です。

そのうちのひとつを、今朝早くに撮ってみました。

映像が鮮明でないので、わかりづらいと思いますが、いろいろな鉱物が見えます。

採集した鉱物をきれいにして、鉱物がよく見えるようにしてみませんか。

http://kouzanken.blogspot.com/2019/12/blog-post_21.html で、
鉱物をきれいにする方法をご覧ください。

2020年7月18日土曜日

旧太子駅ホッパー棟:登録有形文化財登録へ

たいへんすばらしいことです。
群馬鉄山に関する設備-群馬県中之条町にある旧太子駅のホッパー棟-が、登録有形文化財とするように答申されたとのこと、とてもうれしく思っています。
最盛期の姿については、旧太子駅に展示してある写真をご覧になってください。
群馬鉄山は、昭和41(1966)年には閉山になってしまいます。
その後は、鉄道も廃止されました。
群馬鉄山跡地にあるチャツボミゴケ公園をはじめ、中之条町の自然を生かした観光開発が功を奏し、いまでは多くの人々が訪れています。
旧太子駅には、鉄道が廃線になったときの運賃表が展示してあります。
東京電環という表記は、若い方々にはわからないかもしれませんが、私がこどものころは東京電環といっていました。

鉱山関係の設備が保存されていくことは、鉱山の歴史を残していくうえで、たいへんすばらしいことだと思います。

 登録有形文化財登録 

2020年7月14日火曜日

金の価格が高騰

金鉱脈、砂金を探してみませんか?

2020.7.13(月)18:58の読売新聞オンラインで、つぎの記事が配信されています。
セオリー破りの高騰であるとか、異例の上昇基調であるとか、金を保有していない私にはチンプンカンプンな内容で、まったくなにもわからないのですが、今春以降に最高値を更新したことは、すごいことなのだろう・・・ということが、おぼろげながら私にもわかります。
金といえば田中貴金属工業ですが、同社のHPで金の価格とその推移をみてみましょう。
金の税込小売価格は、6,848円/グラム(2020.7.13 09:30公表)になっています。
6月はじめからの小売価格は、つぎのグラフのとおりです。
金の価格については、戦乱とか政情不安のときには、資産としての保有価値が高く評価され、一般的に高騰するといわれています。
もちろん、富の象徴として、また権力の象徴として、金の需要には根強いものがあります。
たとえば豊臣秀吉が築いた建物の瓦には、金箔が施されていたとか、金箔をふんだんに使用した茶室があったといったことなど、権力と金の関係、これは切っても切れない関係であることは、日本ばかりでなく西洋でも同じことがいえます。

日本には佐渡の金山のほか、各地にいっぱい金山があり、多くの金を産出していました。
興味のある方は、『日本金山誌』をお読みになってみてください。
お住いの近くに、かつて金山があった、ということを〝発見〟するかもしれません。

金鉱脈探しのご参考までに、ウイキペディアの記事を紹介(↓)します。

 経済的に金鉱山と言える物は平均して1000 kgあたり0.5 gの金を産出する必要がある。

 典型的な鉱山では、露天掘りで1 - 5 g/1000 kg (1 - 5 ppm)、通常の鉱山で3 g/1000 kg (3 ppm) 程度である。

 人間の目で見て金と分るには鉱脈型の鉱床で少なくとも30 g/1000 kg (30 ppm) 程度の濃度が必要で、それ以下の金鉱石では鉱石内に金があることを人間の目で見分けることはほとんどできない。

              出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

金鉱脈探しはどうもむずかしそうだな・・・という方には、砂金探しはいかがでしょうか。

日本には砂金が採取できる場所もあります。
砂金一粒がいくらになるか・・・、そんなことを考えながら砂金探しをしてみるのもおもしろいかもしれませんが、見つけたときのよろこびを素直に感じる、そんな楽しい野外の遊びの一つとして、この夏の遊びに砂金探しはいかがでしょうか。

※ 川での遊び-砂金探しに限らず、すべての遊びにおいて-では、
河川法をはじめとする法規制を順守するとともに、
夏場の大雨などによる急な出水、増水には十分に気をつけて、
正しく安全に。をよろしくお願いいたします。



2020年7月8日水曜日

『群馬歴史散歩』第263号

見取図は本邦初公開かも・・・
西ノ牧鉱山編(その1)

このほど『群馬歴史散歩』第263号が発行されました。
第262号から始めさせていただいた連載の第2回目となります。
第263号の連載第2回の冒頭部分(↓)です。
鉱石図鑑などの場合、西牧鉱山と表記しているものがあれば、西ノ牧鉱山と表記されていたりで、どっちが正しいのだろうかと疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
鉱山の場合、経営者の交代により、鉱山名が変更されることもありますし、縁起をかついで名称を変えるといったこともあるようですが、西牧か西ノ牧か、そのどちらかということになれば、西牧鉱山ではなく西ノ牧鉱山であった、これが正しいのではないかと考えました。
しかしながら西牧でも西ノ牧でもない名称の文書もあります。
鉱山名(その変遷)に関しては、『群馬歴史散歩』の第265で紹介したいと考えています。
鉱山名の変遷は、きっとおもしろい内容になるのではないかと思っているところです。
第263号において、前号のお詫びを掲載させていただいています。
第263号では西ノ牧鉱山の見取図を紹介しています。
この見取図は、本邦初公開といいますか、おそらく鉱山研究者の方でもご覧になっていないのではないかと思いますが、その見取図を第263号の14・15頁に掲載しています。
見取図については、たいへん申し訳ありませんが、第263号でご覧いただければ幸いです
その代わりに、ということではありませんが、海軍の事務用箋に地元の方々の記録が残されていたこと(これも本邦初公開かもしれません)を、ここで紹介させていただきます。
どうぞ、『群馬歴史散歩』(第263号)をご一読いただければ幸いです。

『群馬歴史散歩』の購読(会員制)申し込みは、
  群馬歴史散歩の会事務局 
   〒379-2154 
   前橋市天川大島町317-1 
   電話 027(223)2785  FAX 027(223)2785
までお願いいたします。

※ 群馬県立図書館をはじめ、
群馬県内の公立図書館であれば、
『群馬歴史散歩』が置かれていると思いますので、
こちらでお読みいただくこともできます。

2020年5月5日火曜日

クレオパトラのアイシャドウ

アンチモン

 古代ギリシャやアラビアの女性たちは、眉墨あるいはアイシャドウに黒色の鉱物粉末を用いていた。エジプトのクレオパトラも愛用していたといわれている。この粉末は、現在の輝安鉱で主成分は硫化アンチモンと思われる。
 この眉墨は当時、stibiとかstimmiと呼ばれていた。このため元素記号のほうはラテン語のstibiumからきていると思われる。愛媛県の市ノ川鉱山から採鉱された美晶の輝安鉱は、海外にも広く知られている。
       『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』256頁から引用

『原色鉱石図鑑(保育社)』の第30図版(↓)は、市ノ川鉱山産の輝安鉱です。

残念ながら私は図鑑で見ているだけで、実物を見たことがありませんが、大きくて美しい輝安鉱は、ほんとうに美しいものだと思います。
新型コロナウイルスの感染防止のため、外出を自粛していますので、以前に採集した輝安鉱を紹介(↑)します。
市ノ川鉱山産の輝安鉱は、『原色鉱石図鑑(保育社)』の表紙(↓)にもなっているほどです。
市ノ川鉱山産のように大きくありませんが、きらきら光る、その美しさは、まさに輝安鉱の輝き(↓)です。
ところで、アンチモンについては、
 アンチモンは100mgで中毒症状を示し、非常に毒性が強い。
      『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』257頁から引用
とのことで、クレオパトラをはじめ、古代ギリシャやアラビアの女性たちに健康被害がなかったのか、そこが大いに気になるところですが・・・。
美しく装いたいという女性の気持ちを、このアンチモンが叶えてくれていたのかもしれません。
絶世の美女として有名なクレオパトラですが、アンチモンのアイシャドウを塗ったクレオパトラに会えるものであれば、会ってみたいものです。
現代のアンチモンの用途については、『元素118の新知識(桜井弘編・講談社ブルーバックス)』256・257頁で紹介されています。
外出自粛が解かれたときには、
研究会のメンバーで調査に出かけたいものです。

2020年4月11日土曜日

「群馬歴史散歩」

連載がはじまりました!!

群馬歴史散歩の会が発行している「群馬歴史散歩」の第262号から、拙稿を掲載させていただくことになりました。
伝統ある「群馬歴史散歩」に掲載させていただくことになったうえ、たいへんうれしいことに掲載第1回の表紙には、西ノ牧鉱山産の鶏冠石の画像を採用していただきました。
「群馬歴史散歩」は、群馬歴史散歩の会の会員頒布(入会申し込み先は、最後のところに記載しておきます)というシステムになっていて、書店では販売していませんが、群馬県立図書館をはじめ、県内の公立図書館で閲覧できます。
いまは、群馬県立図書館などがコロナウイルスの関係で休館になっていますが、開館して閲覧できるようになったときに、お出かけいただいて、拙稿に目を通していただければ幸いです。
第262号の「群馬歴史散歩」では、たいへん珍しい(と思っています)陸軍の罫紙に書かれた記録-どんな記録か・・・は、第262号をご覧ください-も紹介(↓)しています。
【入会申し込み先】
     群馬歴史散歩の会事務局
       〒379-2154 前橋市天川大島町317-1
           電話・FAX  027(223)2785
           郵便振替口座 00370-4-9646

(本多優二)